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日弁連九州地区夏期研修2016年07月16日

弁護士という仕事は,日々変化する法律や判例などの最新の知識をアップツーデートし,「常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない」(弁護士法2条)仕事です。

実際にも,法律は世の中のほぼ全ての事項に関わってくるものですから(科学的な研究と宗教問題以外はだいたい守備範囲です),法律の知識はもちろんのこと,それ以外のいわゆる「雑学」というものまで,知っていて邪魔になることはないと個人的には思っています。

とはいえ,日々の業務に追われる中で知識を更新し,あるいは新しい情報に触れる機会というのは結構大変です。そこで,弁護士会では種々の研修を実施し,知識を更新し,新しい情報に得る機会を準備しないといけません。
今回参加した日弁連夏期研修は,各地のブロック弁連単位で実施されている最大規模の研修の一つで,九州では九弁連の研修委員会が委託を受けて企画立案から実施まで行っています。

今回の研修は
現役のアナウンサー,アナウンススクール講師による「意見の伝えかた」
倒産法のエキスパート弁護士による「中小企業破産の申立における留意点」
そして,弁護士倫理に関する研修の3本立てでした。

私は所用があり午前中の研修のみの受講しかできませんでしたが,午前中の「意見の伝え方」の研修は,法律知識ではないが常日頃人に接する我々の仕事において意識すべき内容でした。
講演の内容としては,大きく分けて自分の声の特質を理解した上での話し方・発生方法と,受け手の言語パターンをふまえた説明の仕方,というものですが,いずれも「声」を仕事にされている講師ならではの説明で,非常に勉強になりました。
発声については,母音や抑揚を意識することで聞き取りやすさが格段に上がることや,同じ言葉でもどのような表情,どのような感情を乗せるかで印象が変わることなど,あまりこれまで意識していなかったお話でした。
裁判員裁判など弁護士がプレゼンテーションをする機会も多くなっていますし,各種講演をする機会も多いのですが,弁護士はあまりこのような方法論を意識して話をしているとは言えませんので,今後のために貴重な知識を得ることができました。

また,言語パターンというものについては,結論から言語化していく「オプション型」と思考過程を順を追って言語化していく「プロセス型」があり,両者は文法が違うので相手の言語パターンに応じた説明が必要,という話でした。
これは我々も法律相談において実感するところです。相談では,時間を気にしている様子ですぐに結論を聞きたがる相談者もいれば,逆にいつまで経っても何で困っているのかはっきりわからない相談者もおられます。いままではなぜこのような違いがあるのかわかりませんでしたが,今回言語パターンの違い,という説明を聞き,なるほど納得,です。
また,異なる言語パターンの相手には説明が上手くいかないことも多いのですが,例えばオプション型の相手にはまず端的に結論を示し,相手方が求める必要な理由を説明していくことで納得が得やすくなることや,逆にプロセス型では相手の思考過程をきちんと聴き手が整理し,理由から論理立てて結論を説明すると納得が得やすくなるとのことです。これは我々弁護士も法律相談で無意識のうちにやっている説明ですが,理論的に理解すると今後さらに改善することができるはずですので,この知識を得たことは大きな収穫でした,

倫理研修については,半分だけ受講をしていますが,昨今増えてきた法律事務所の広告についての問題点や非弁提携の危険性など,タイムリーな話題をコンパクトにまとめていました。

破産関係の研修については資料を拝見する限りですが,これだけで教科書がかけるくらいの情報を要点良くまとめられているもので,受講できなかったのが残念に思うほどです(実際受講した弁護士からは「すごく勉強になった」という感想がありました)

終了後には講師を交えての懇親会も行われ,講義では聴けなかった話などもうかがうことができました。これもライブで行われる研修の醍醐味の一つです。

ところが,残念なことにこれだけの研修でも参加者があまり伸びておらず,参加者をどう増やすかが毎年課題になっています。日々の業務が忙しい中,平日に1日時間を作って研修に参加する意欲がないのか,主催側が研修の魅力を伝え切れていないのか(半田は昨年まで九弁連研修委員,今年度は同委員会の担当理事として主催側の立場です),個人的には両方あると思いますが,これだけの研修を受けないのは率直に言って「もったいない」と思う次第です。

自分自身が研修を受けてブラッシュアップするだけではなく,研修の意義を広く弁護士に理解していただき,業界全体のスキル維持・向上につなげるためにはどうしたらいいのか,充実した研修を受けるたびに悩むところです。

(半田)
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