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「立憲主義」と「民主主義」2016年12月06日

最近,憲法問題についてお話しさせて頂く機会がいくつかありました。

憲法問題の講演では,憲法の意味や位置づけが必ずしも共通認識になっていないことを意識し,まずは「憲法を知ろう」ということをお話しさせて頂いています。
その中で,最近は「立憲主義」ということに力を置いて話をしているのですが,たまたま「立憲主義」と「民主主義」のことを書く機会を頂きましたので,手前味噌ですが紹介したいと思います。

トランプ・ショックから考える民主主義

(一部抜粋)民主主義(デモクラシー)を一言で言い換えると,「国民による支配(政治)」です。
語源や由来は古代ギリシャで会議の度に参政権を持つ市民が集合して話合いを行い,ものごとを決定していたことに由来します。
とはいえ,国家規模が大きくなった現代では,すべての物事を国民の話合いや投票で決めること(直接民主制)は現実的ではありません。そこで,国民が選挙によって代表者を選び,代表者が政治を行うという「間接民主制」が採られるようになりました。
民主主義は「国家のあり方を決めるのは国民である」との考えを実現するものであり,王様が国のあり方を決める絶対王制と対置されています。

しかし,民主主義も万能ではありません。
民主的に選ばれた政府が独裁を行った例は,第二次大戦前のドイツを筆頭に多数存在します。
また,直接民主主義もその時々の雰囲気に流されたり,選挙に行った人の多数意見が結論となる結果,本当の民意とはかけ離れた結果がでる,という危険性をはらんでいます。
何より,全てを多数決で決めてしまうことは,少数者の権利や人権を蔑ろにする政治が行われてしまう危険性があるのです。
その意味で民主主義は万能ではなく,多数派の暴走や少数者の抑圧といった危険を有している制度である,ということは自覚しておかなければなりません。

この民主主義の欠点を補うのが「立憲主義」です。
立憲主義とは,多数決で選ばれた代表(政府)によっても制限できない国民の権利(人権)を憲法で定め,政府に憲法を遵守することを求めることで国民の人権を守り,政府の暴走を防ぐための制度です。
その中には,国家権力を司法・立法・行政の3つに分け,相互に監視・抑制することで権力の暴走を防ぐ,という三権分立も含んでいます。


アメリカ大統領選挙で民主的な手続によって選ばれたトランプ氏でも,憲法に違反する政治はできません。
このように,民主主義の結果が暴走しないようにしているのが,立憲主義であり三権分立の制度なのです。

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