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離婚の話合いの際に注意すべきこと(2)2012年05月02日

前回は離婚の際に問題となることについて,簡単に列挙しましたが,
今回は各論として,まず「養育費」について,考え方の概略をご説明したいと思います。

そもそも,養育費というのはどのようなお金でしょうか。

文字をそのまま解釈すると,「子どもを養い育てるための費用」という事になりますが,
私は,これは半分は正解で,半分は不正解だと思っています。

なぜなら,養育費は必ずしも「子育てに必要な費用を全て負担させることができる」ものではないからです。
子どもを育てるには,食費や光熱費,被服費の他,医療費や教育費などの種々の費用がかかります。
多くの相談者は,養育費としてこのような費用を請求できるのではないか,と考えて相談に見えられますが,
この全てを養育費として,離婚した元配偶者に請求できるかと聞かれると,答えは「難しい」となるのです。

では,養育費とはどのような意味合いのお金なのでしょうか。
私は,「離れて暮らす親が,自分と同じ生活水準を子どもに保障するためのお金」だと考えています。
これを前提にすると「いくらお金がかかるか」ではなく,払う側と受け取る側の生活水準の違いに着目して養育費を定めるという考えになります。
実務上は,権利者(子どもを育てる側)の所得と,義務者(養育費を支払う側)の所得を基準に養育費が算定されることも多いのです。

もちろん,合意があれば基準に従わず自由に養育費を決めていいですし,
実際にも子どもの進学等で臨時の出費がかかる時には追加で養育費を払うという合意がなされる場合もありますが
多くの場合(特に調停や裁判になった場合)には,上記のような考え方で養育費がきめられていると思われます。

ただし,裁判で使われる基準も絶対ではなく,個別の事情によって判断がなされますので
自分の場合はどうなるのかについては,ご相談にお越し頂いてご説明させて頂く事になります。

養育費が話合いで決まらない場合には,調停や審判といった法的手続を取ることになります。
これについては,他の問題と共通するので,機会を改めてご説明したいと思います。

養育費でもう一つ問題となるのは,「決まった養育費をきちんと払ってもらえるか」です。

これも,訴訟や調停で定めたか,当事者の話し合いで定めたかによって変わってきます。
訴訟の判決や和解,調停,あるいは公正証書(強制執行を認める文言があるもの)がある場合,
最終的には相手の銀行口座や給与などの財産を差し押さえて回収することができます。
また,和解や調停の場合で,「差押えまでは考えていないが・・・」という場合には,裁判所の書記官を通じて支払うよう勧告をすることもできます(強制力はありません)
当事者の話し合いのみできめた場合,差押え等はできませんので,別途支払督促や調停等を行う必要があります。
このように,法的手続を経るか否かでその後の負担が変わってきますので,話合いできめる場合でも,可能であれば公正証書を作成しておくことが望ましいといえます。

逆に支払う側の収入が減った等の事情で,これまでの額を支払えない場合には,義務者から家庭裁判所に養育費の再計算(減額)を求めて調停をすることもできます。

最後に,ご相談でよく聞かれるのは「養育費を母親(父親)が自分のために使っているがいいのか」というご質問です。
これについては,養育費が「生活レベルを確保するお金」であるという前提に立てば,生活費として使うことは,基本的には問題が無いとご説明しています。
個人のぜいたく品等に使う場合は,全く問題なしとは言えませんが,現状の制度では養育費の使途を強制することはできませんので
この場合でも,「私的に使っているから養育費を払わない」という反論はできません。
そのため,私は養育費については「子ども名義の口座を作ってそこに振り込んでもらう」,
きちんと使途を明らかできるようにする」ということをアドバイスさせていただいています。
受け取る側も払う側も納得して養育費の支払いがなされる事が理想であり,そのために「子ども名義にして家計とは分けて管理する」
「生活費として使った場合でも,何月にいくら引き出したのか明確にする」などの工夫は有効だと思っています。

このように,一口で「養育費」といっても種々の問題があり,後々の紛争を予防するために工夫が必要な点もあります。
その意味で,1人で悩まずにお気軽にご相談いただくことで,よりよい解決を導ける,と思います。
1人で悩まず,まずはご相談下さい。
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