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サンタクロースと住居侵入罪2012年12月22日

もうすぐクリスマスですね。街も華やかなクリスマスムード一色です。
クリスマスは本来イエス・キリストの生誕を祝うキリスト教の記念日(降誕祭)ですが,
どちらかというと真っ赤な衣装に身を包んでプレゼントを持ってやってくる
「サンタクロース」のイメージが強いのではないでしょうか。このサンタさん,「煙突から家の中に入る」「よい子の枕元にプレゼントを置いて帰る」という行動をとりますが,
これって犯罪じゃないか?,と考えた人もいるかもしれません。
そこで,今回は「サンタクロースは住居侵入罪にあたるか?」について
法律的観点から考えてみたいと思います。
(なお,これは弁護士の一意見にすぎず,確定的な解釈を示すものではありません)

まず,サンタさんは勝手に人の家に入るわけですから
「住居侵入罪(刑法130条)」にあたらないか,という問題が出てきます。
刑法130条は「正当な理由がないのに、人の住居(中略)に侵入し(中略)た者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」と定めており
勝手に人の家に入ってくるサンタさんはこれに当たるとも思われます。

しかしながら,家に入ることに住人が同意している場合には住居侵入罪は成立しません。
サンタさんの風習が一般的になっている現代の日本において,多くのご家庭ではサンタさんが入ってくることを推定的に同意していると考えられます。
したがって,特に事情がなければサンタさんに住居侵入罪は成立しないと思われます。
しかし「サンタだか三太だかしらねぇが,ウチはそんなのはお断りだよ!」という方もおられるかもしれません。
そのようなご家庭は「サンタお断り」という張り紙を煙突に貼っておけば上記同意が否定されることになりますので,
この場合にはサンタさんに住居侵入罪が成立することになります。

なお,住居侵入罪については,最高裁判所平成20年4月11日判決(立川反戦ビラ事件)において
管理権者の意思に反して(ビラお断りという張り紙があったようです)政治的意見を記したビラを投函する行為は住居侵入罪にあたるとしています。
この事件は,憲法21条1項で保障される「表現の自由」との関係で住居侵入罪の成否が問題となったものです。

私の個人的意見としては「表現の自由を尊重すべき」であり,
この場合には「(管理権者の同意がなくても)正当な理由がある」と考えているところですが
最高裁判所は住居侵入罪を認めても憲法21条1項に違反しない,としています。

この最高裁判決に従えば,たとえ一般的に認知されているサンタさんでも
管理権者の意思に反してプレゼントを届けに行けば住居侵入罪が成立してしまうのではないでしょうか。
(サンタさんの行為は表現行為ではないので,より住居侵入罪の成立を認める方向に傾くと思います)

したがって,サンタさんに来て欲しくない場合にはきちんと張り紙をすることが大切ですね(って,そんなご家庭は珍しいと思いますが)。
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