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九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)レポート2013年06月30日

九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)レポートの写真
B型肝炎訴訟佐賀弁護団で,九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)の見学にいってきました。

B型肝炎では,肝がんを発症されている患者さんも何人かおられますが,皆さん一様に将来の治療負担への不安を訴えられています。
そんな中,地元・鳥栖に肝がんにも適用がある重粒子線治療施設ができたこともあり,後学のために見学をお願いしたところ,ご快諾頂きお邪魔させていただいた次第です。

重粒子線治療は,シンクロトロン(加速器)を用いて光速の70%まで加速させた炭素(C)イオンを患部に照射することで,ガン細胞のDNAを破壊し退治する,というものです。
放射線治療の一種ですが,重粒子線の特徴として,一定の距離(深度)まではエネルギーを放出せず,ある一定の地点で全エネルギーを放出して,そこから先には貫通しないという特性があり,エネルギー放出地点を患部に合わせることで,正常組織へのダメージを限り無く少なくしてがん細胞に集中的にダメージを与えることができる,とのことです。
同様の治療法に水素原子イオンを用いた「陽子線治療」(九州では指宿メディポリスが実施)がありますが,重粒子線はそれよりも質量が大きいため,攻撃力も陽子線の2~3倍(但し加速するのに相応の設備とエネルギーを要する)という特徴があるのです。

詳細は書く余裕がありませんが,治療期間は肝がんなら2日~4日(ほか準備に2週間程度)と極めて短く入院の必要もない,患部の切除を行わないので身体のダメージが少ない,正常部位を避けてピンポイントで(照射付加部位の5mm程度まで寄れるそうです)照射ができる,従前難治性と言われた骨や骨軟部組織のガンに有効であるなど,可能性が広がる治療法です。

ちなみに,重粒子線は一定の速度で打ち出されるので,狙った場所にあてるために各種機具(照射範囲を拡大する機械や,抵抗をかけて到達距離を調整する機械など)を用いており,患者のガンの形に合わせた機具を作って治療を行うという,まさにオーダーメイドの世界でした。
粒子線治療は,既に放射線医学研究所などで治験実績もあり,今後保険適用の拡大を目指していくそうですが,特に「子どもの骨のがん」には粒子線治療以外の有効な治療方法がなく,これだけでも早く保険適用になってほしい,というセンター長のお話が印象的でした。
なお,胃がんや大腸がんなどの不規則に動くガンや転移性のリンパ節ガンなど全身性のガンには適用はなく,重粒子線といえども万能ではないとのこと。また,早期治療のほうがより効果的だということもあるようです。

地元に画期的な医療施設ができたことを喜ぶと共に,今後の保険適用も含めた診療範囲の拡大を期待するばかりです。

写真はハイマットの治療室。落ち着いた配色の空間で,医療施設とは思えない雰囲気でした。
最後になりますが,ハイマットの十時理事長,工藤センター長,北村専務理事には見学をご快諾いただいただけでなく,施設のご案内までしていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。
また,当日素人のよく分からない質問にも快くご対応いただいたスタッフの皆様,ありがとうございました。
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