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「エンディングノート」を書いてみませんか?2013年12月14日

先日,地元・小城市の市民団体主催の学習会で「エンディングノート」についてお話をする機会をいただきました。

これまで相続というと「遺言」の話が中心でしたが,遺言は法的な効力があるが故に,法的に有効な遺言を作るためには記載内容や手続きが厳格であり,中々に敷居が高いということもありました。
 エンディングノートも遺言と同じく故人の意思を残すものえはありますが,遺言と異なり法的な有効性を問題としないので気軽に作成できることもあり,最近脚光を浴びているようです。
 エンディングノートに記載されるものとしては,具体的には遺言とも重なる「遺産」はもちろん,家族へのメッセージ(自分への弔辞を書く方もおられるようです)や葬儀・埋葬の方法や形見分け,万一の際に連絡してほしい相手などを書くのが多いようです。
 最近は有料・無料を問わず書式も多く出されており,自分の考えに応じて色々と書き遺すこともできるようになっています。

 とはいえ,法的拘束力はないので,エンディングノートも万能ではありません。
また,遺言には相続や身分関係以外のことを記載してもかまわないので,遺言を作れるのであればそれに越したことはないとも思います。
 その意味で,以下のケースでは遺言を作るべきではないでしょうか。
(遺言を作るべき場合)
 ・ 相続財産を特定の人に相続させたい場合
 ・ 遺贈を行う(法定相続権のない人へ遺産を渡す)場合
 ・ 相続紛争が発生する可能性が高い場合
 ・ 身分行為(死後認知等)を行う場合
 逆に,相続紛争が起こる可能性が低い場合や,相続・身分関係についての遺言は考えていないが,葬儀方法や訃報の連絡先は遺したい場合などは,まずはエンディングノートから作ってみることもいいと思います。
 ただし,相続紛争は遺産の多寡にかかわらず発生しますので(むしろ遺産額が少ない場合や,不動産など処分が困難な遺産が多い場合ほどもめる印象があります),「うちは相続財産がないから大丈夫」というのはご注意ください。
 また,以前にも書きましたが,遺産の内容を相続人が把握していないことに伴う「遺産を使い込んだ云々」の紛争もありえますので,エンディングノートには必ず相続財産の内容は書かれた方がよろしいかと思います。
 個人的には,遺品の形見分けや訃報の連絡先も遺されているといいかな,とも思います。
 遺言の下書きの意味も込めて「まずはエンディングノートを作ってみよう」というのもいいのかもしれません。

 法律家としては,相続紛争を多く目にしているものですから,可能ならば法的に有効な遺言を遺しておくべきとも思います。
 他方で,相続紛争において故人の遺志の理解に食い違いがあり(おおむね全員が自分に都合よく解釈します)紛争が激化することも多く,故人の気持ちがはっきり遺されていればこんな紛争にはならなかったのではないか,と思うこともあります。自分の気持ちをきちんと遺すということからは,エンディングノートも一つの有効なツールなのかな,と思っています。
 私は相続は財産だけではなく,故人のこれまでの人生や気持ちの一部を引き継ぐことだと思っています。そうれあれば,引き継ぐべき「気持ち」をエンディングノートという形で遺すことにも意味はあるのではないでしょうか。
 何より,自分に万一のことがあった場合のことを考えることは,これまでの人生を振り返り,親しい方々への感謝の気持ちを再確認することにもつながるのではないでしょうか。

 皆さんもお正月や誕生日など,節目にエンディングノートを書いてみませんか。
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