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相続手続きはやっぱり早いほうがいい2016年02月14日

昨年9月に 「相続手続きは早いほうがいい?」として、被相続人(相続の対象となるお亡くなりになった方)の死後相続手続きまでに時間がかかった場合について、
「相続手続の時効」や「相続放棄の熟慮期間」、「遺留分等の時効」などを紹介しました。

しかし、相続手続きに時間を要すると、ほかにもいろいろと問題が出てきます。
今回は前回のコラムの続きとして、不動産がある場合で相続に時間がかかった場合の問題点を紹介していきたいと思います。

まず第1に、相続人(相続を受ける側)の状況が変わることがあります。
最も多い問題としては、相続人が高齢になり判断能力等を欠くようになった場合、成年後見人等を選任しないと相続ができなくなる、ということです。
わかりやすく説明すると、お父さんとお母さん、兄弟2人の家族でお父さんが亡くなって、その後10年くらい相続手続きをしなかったところ、お母さんが認知症になってしまい施設に入ることになったので、施設の費用を作るためにお父さん名義だった自宅の土地建物を売却する、ということを考えてみます。
この場合、土地建物は亡くなったお父さんの名義ですので、そのままでは売却や登記ができません。そこで、相続手続きをしなければなりませんが、お母さんが認知症で判断能力がなくなっている場合、お母さんに成年後見人をつけないと有効な法律行為(相続の話し合い等)ができなくなるのです。
成年後見人を選任するには家庭裁判所への申し立てが必要で、その資料として現在の判断能力についての医師の診断書が必要になるなど、いろいろと負担が増えてしまいます。お元気なうちであればスムーズに相続手続きができたのに…というケースは私もよく目にすることがあります。

あるいは、お父さんの没後に兄弟が亡くなった場合、亡くなった相続人に妻子がいれば、相続分を妻子が相続することとなり、不動産の登記や処分には妻子を含めて全員の印鑑が必要になるなど、相続手続きに関わる人が増えていくということもあります

また、よくご相談を受けるのは、相続財産にかかる税金(固定資産税)の取り扱いです。
相続手続きが未了のままの不動産については、相続人のうち課税庁からみて一番徴収しやすい人に請求がなされることが多いのですが、課税庁との関係では相続分にかかわらず全額を納税する必要があります。
相続分を超える納税については、他の相続人に請求するか遺産分割時に考慮することが一般的ですが、精算されない場合も多いため、相続手続きに時間がかかると納税額もばかになりません。
精算するにしても、よけいなもめ事を増やしてしまう可能性もあるのです。

さらに、不動産を空き家のまま放置していると屋根瓦が飛んだり建物が壊れたりして近隣に被害を生じた場合、所有者である相続人全員が賠償責任を追うことになってしまいます。
そのほかにも、価値の低下(特に建物は傷みますので)により、早期に処分した場合と比較して資産価値の下落が生じることなど、色々と問題を生じさせる結果となってしまいます。

特に不動産がある場合、相続手続きはやっぱり早いほうがいい、ということになるのです。
なお、遺言書や遺言執行者の指定がある場合には手続きをスムースに進めることが可能となります。これについてはまた機会があればご紹介したいと思います。

(半田)

非行少年に対する社会復帰後の支援とは2016年02月09日

2月6日~7日に福島県郡山市で開催された付添人経験交流集会に今年も参加しました。

付添人とは,事件を起こした少年について,成人の場合の「弁護人」と同様にその権利を擁護するとともに,少年を人格的に成長させるため非行の温床となった原因を克服していく過程を援助するために「付き添う」弁護士活動のことです。
少年事件は近年こそ若手弁護士を中心に積極的に関与するようになってきましたが,その活動のスキルアップのために,日本弁護士連合会の主催で毎年1回「付添人経験交流集会」が開催されています。

半田は縁あって弁護士登録直後から多数の少年事件を担当したことがあり,また個人的な関心の高い分野でもあるので,ほぼ毎年参加していますが,今年は大阪弁護士会子どもの権利委員会が企画した「審判後の少年の支援」という分科会が興味深い内容でしたので,少しご紹介したいと思います。

少年事件において弁護士が関わるのは,主に少年審判(大人で言う裁判)までであり,審判の結果少年院に送られた少年や,保護観察となって社会にもとってきた少年の面倒を見ることは,付添人の権限ではありません。
しかし,審判が終わったあとも「あの子はどうしてるかな。元気でやってるかな」と気になる少年がいることも確かです。
また,色々な事情により,社会に戻っても居場所が見つけられない子どもや,適切な指導者が見つからない子どももいます。
付添人活動を行う弁護士として,この「審判後の少年」の問題は気になっていたのですが,この問題について弁護士や「自立援助ホーム」のスタッフ,「全国就労支援事業者機構」の方が現在の取り組みと課題を報告されていました。
詳細については長くなるので割愛しますが,事件を起こしてしまった人(少年も成人も)の更生支援が現在では一部の篤志家に委ねられている状態が報告されるとともに,この問題についてはもっと取り組みを進めるべきであることが報告されていました。
佐賀県では,大阪よりもさらにこのような「社会資源」が不足していることは否定できませんが,我々弁護士も更生保護についてもっと関心を向けて,社会全体で罪を犯してしまった人の立ち直りを支援できる体制を作っていくことの必要性を再確認させられる機会となりました。
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